【養育費】不払いの場合の手続き
養育費不払いの場合、最終的には相手の財産に強制執行をしなければならないことが多くあります。
しかし、これまでは、相手の財産を自分で探してこないと、強制執行ができませんでした。
ところが、昨年、民事執行法が改正され、養育費不払い事案に関して、相手の財産などを知るための手続きが導入され、強制執行関連の手続きが容易になりました。
最近、この改正法に基づく手続きの書類作成依頼、相談が多く寄せられています。
ここで、改正に伴う手続きについて整理しておきます。
1,支払い義務者の口座情報取得手続
新設されました。
こちらは、養育費に限らず、判決などの債務名義を有する方であれば利用可能です。支払い義務者の有する預金口座の情報を取得することができます。
情報取得した口座に対し、差押をして不払い分の支払いを受けることができます。
この手続きは、悪質商法業者からの被害回復にも有効と思われます。
2,強化された財産開示手続
支払い義務者が支払わない場合に、強制執行も功を奏さないような場合、財産開示手続を利用し、支払義務者に財産の内容を開示させる手続です。
以前よりこの手続きはありましたが、法改正により使いやすくなりました。また、開示手続への不出頭や虚偽陳述に対し、刑事罰が導入されたため、実効性が高くなったと言われています。
開示された財産に対し、強制執行を行い、不払い分の支払いを受けます。
3,勤務先情報の取得手続
こちらも新設されました。
養育費等の扶養料請求権、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する方のみが利用可能です。財産開示手続を利用した後でなければ、この手続きは利用できません。
この手続きでは、支払い義務者の勤務先情報を、年金事務所や市町村から取得することができます。
勤務先が判明した後、給与差押を行うことによって、不払い分の支払い等に充てることができます。
その他、これまでも利用可能であった履行勧告や養育費請求調停などの手続きもあります。
養育費不払いが社会問題化している中、とても意義のある法改正であると思います。養育費不払い解消のために、使える方法が増えた、ということになります。
お困りの方、ぜひご相談ください。